構成概念の測定

心理っぽい話題です。

構成概念・・・難しいですね(笑)

中島義明 他 1999 心理学辞典 有斐閣では,

理論構成上導入される概念であり,これをどの程度導入すべきか見解の相違が心理学の歴史的展開のなかでみられた。・・・constructはたんに構成体とも訳され,直接には観察できない概念であり,観察可能な事象から理論的に構成される概念である。・・・

とされています。

ふむ,やっぱり難しいですね。

かなり限定的に(簡単に)言えば,共感性や満足感,愛情などなど目に見えないけど,何らかの事象を考える上であると便利なものという感じでしょうか。

さて,心理学ではこの構成概念を測定することを試みることが多いのですが,目にすることができない以上,それを適切に測定できているかは(正直)わからないわけです。

通常,以下の流れで心理尺度が作成されます。

何らかの構成概念を定義をする

それを測定するための項目を作成する

     ↓

尺度により(定義した)構成概念を測定する

これにより(定義した最初の)構成概念を

測定したと考えるのが一般的でしょう。

しかし,項目を作成した段階で

すでに最初の構成概念とは異なる

構成概念になっていると考えることもできます。


construct

図の通り,最初は四角全体の構成概念を

想定していたとしても,項目を作成した時点で

結局項目がカバーしている範囲しか測定できない。

つまり項目がカバーしている範囲のみが構成概念となってしまうということです。

もう少し具体的にするとこんな感じです。

(師匠がよく使われる例です)

日本史の学力(最初の構成概念)を

測定するのに近現代の問題ばかりを

集めてもそれは日本史の学力を測定している

ことにはならない。

日本史(近現代)の学力を測定しているだけだ。

日本史の学力を測定するには全ての時代,

政治や文化全体を網羅する必要がある。

と。

僕としてはこの考え方が好きなのですが・・・。

結局,何が言いたいのかというと

心理測定において,尺度項目は重要,

項目を減らしすぎるのは

測定している構成概念自体も小さくしてしまう

ということかな・・・

2005/03/03

某先輩から,下の図のような形の方が

いいのではないかと,

ご指摘をいただきました。

なるほどという感じです。


construct2